What Do I Make?

革、電子工作、その他作った物の記録

中華CNCを使ってみる

Fusion360には、設計したモデルをベースにCNCやレーザー加工機、旋盤などに向けたG Codeを出力する機能がある。CNCだけとってもかなり設定項目が多く、使い方が非常に分かりにくい。それだけ柔軟な設定ができる高機能なツールということでもあるのだけど。

中華CNC

今回使用したのは3万円ほどのCNCで、Grblファームウェアが載ったもの。アルミフレームの骨組みに、ベークライトのZ軸ガントリーが付いている。Z軸のモータは12V、モーターベースも含めあまり頑丈な機構ではないので、原型製作用のロストワックスや木材の切削に使う。真鍮やアルミなど柔らかい金属であれば、切り込みをかなり小さくして時間をかけて削る。立体というより表面の彫刻には使えるかも。

CNC以外に必要なもの

エンドミル+コレットチャック 購入したCNCにはVカッター(主に基板切削に使うエンドミル)が付いてきた。そのままでは立体モデルは削れないので、立体を切削したい場合には数種類のエンドミルを揃える必要がある。また、エンドミルは刃の直径によってシャンク径(チャックに挟む部分の直径)が異なるため、それに合わせたコレットチャックが必要になる。ER11と呼ばれるコレットを揃える。

今回はあまり細かい切削をしないので、ひとまず5mm Square, 3mm Square, 3mm Ballを揃えた。2mm以下の細いエンドミルは折りやすいので予備があった方がいい。 5mmスクエアエンドミルは面出しと荒削り用。その他は仕上げと荒削りに適宜使用する。

ケミカルウッド(5mm厚程度の板、および端材ブロック)

切削の練習や、切削物の下に敷く捨て板に使う。 面出ししてエンドミルと平行なベースを作ることで、基板切削などZ軸との距離がクリティカルな用途には特に必要。 ネットでたまに端材が安く手に入ることがある。

防音ケース

CNCはかなり騒音がひどいので、厚めの箱に入れて防音が必要になる。FablabではMDFで作った二重壁の箱に入れている。土台の下に免震ジェルマットを敷くとなお良し。

Gコード送信ソフトウェア(Candle)

CNCに同梱。CNCにG Codeを送り、CNCを制御するためのソフト。原点位置調整などにも使う。Candleの他にもbCNCなど数種類のフリーウェアがある。

3D CAD

モデルの設計からG Codeの出力まで行う。 Fusionが使いにくい場合でも、STLさえ用意できれば他のGコード生成ソフトでCNC用の切削データを作成することはできる。MeshCAM, PyCAMなど。 2D切削(立体ではなく、切り込む深さ固定の切削。表札の名前彫りなど)であればFusionを使う必要は無く、jscutなどの生成ツールで簡単にGコードを作ることができる。 jscut.org

ニキシー管時計v2

ニキシー管時計キットの改良版を開発中。スルーホール実装の部品のみを極力使った組み立てやすい構造はそのままで、機能をいろいろと増やしている。

このキットができるまでに新しい基板を作ったり中華基板業者の実装サービスを使ったりといくつか初体験したことがあったのだけど、顛末記はそのうち……。

2/10開催の 同人ハードウェアフェス と5/4-5開催の Maker Faire Kyoto (受かれば)に持っていきます。VFD時計も一緒に。

ニキシー管時計キット新バージョン

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VFD時計キット

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ダイエットコーラでチタンの陽極酸化処理(アノダイズ)

昨年のHackadayで開かれていたCircuit Sculpture Contest.

hackaday.com

作品を眺めている中で一つやってみたくなったのが金属をアノダイズで着色したテッセレーション。調べてみると、チタンをダイエットコーラでアノダイズ処理する方法があるらしい。

www.briangreen.net

印加する電圧によって色が変わる。25Vで金色、35Vで紫、45Vで青…といったように変わっていく。 車のメタルパーツやキャンプ用品に着色することがあるようで、探してみるといくつか記事が見つかる。

今回はチタンのネジと箸を着色してみた。電源は30Vまで安定化電源、そして45Vを出すために9V電池を5個直列に繋いだもの。50V程度だと電流はさほど流れないので、電池でも十分色が付けられる。

f:id:minori24:20190203004003j:plain ネジは右からアノダイズ前、20V、45V。いい感じにメタリックな色が出る。

f:id:minori24:20190203004006j:plain 今回はタッパーを電解槽に使ったのだけど、小さすぎて箸が入りきらなかった。青く色づいている部分が着色したところ。

チタンの箸は表面にコーティングがあったようで、紙やすりで磨いたあとに着色するとより濃く色が付いた。ただヤスリで磨くのは表面が荒くなるし手間もかかるので、なにかの薬品で溶かすようなことができれば楽かも。

腕時計の革ベルト製作

機械式時計のOrient Starを1年ほど使っているのだけど、標準の革ベルトの色が好みではなかったのと、使っているうちにボロボロになってしまったので自作することにした。 革は浅草橋の革屋さん、And Leatherで購入した端革。

革のAnd Leather | 初心者~中級者向けの革材料・革ハギレ等の卸・小売販売店です。

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(製作途中の写真を撮り忘れてたのでほぼ写真無し…)

時計のベルトは初挑戦なのだけど、とりあえず尾錠を買ってきて元々付いていたベルトを参考に見よう見まねで作ってみる。型紙は特に必要なく、ベルトの幅を正確に切ること、尾錠やピンを入れるループを作るための折り代を作ることを忘れなければ、パーツも少なくて簡単にできる。ただ財布やペンケースを作る場合と違ってパーツが細かいので、細めの目打ちや糸が必要になる。

折り返す部分はナイフで漉く。できるだけ薄くすると折り返して重ねた部分が目立たなくなる。 ピンの折返しと尾錠の穴を開けたところでサイズ確認。少しベルトの幅が狭かった。

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コバはブラウンのコバスーパーでコーティング。木にニスを塗る要領で、2、3回塗って磨くを繰り返すと張り合わせた革のエッジにできる段差が埋まる。ヌメ革で作る時はコバ磨きで仕上げるけど、今回はコバを隠したいのと高級感を出すためにコーティングしている。 コバスーパーは少し粘度が足りない気がする。厚塗りしたくて多めにコバに載せるとふとした拍子にはみ出してしまう。

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初めて作った割にはうまくできたかな。そろそろヌメ側のバッグを作りたいけど、手間と根気を考えると時間とやる気がおきない。デザインだけでも考えておこう。

Fablab関内ニキシー管時計キットの開発

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Fablab関内のワークショップ向けに、IN-12を使ったニキシー管時計キットを作った。

  • できるだけ秋月で手に入る部品を使う
  • 表面実装は使わず、リード部品に統一する。トリッキーな実装はしない
  • 機能をモジュール化して拡張性を持たせる

といったことを念頭において設計してみて、おおよそその通りに仕上がったんじゃないかな。

回路

f:id:minori24:20180422001429p:plain マイコンはATMEGA328P-PU。Arduino Unoの回路をほぼそのまま流用して、Arduinoの開発環境が使えるようにした。Arduinoのソフトウェア資産をそのまま利用できるから開発もかなり楽だし、電子工作の取っ掛かりにArduinoを触った経験がある人も多いので改造へのハードルが低い。

回路はオーソドックスな構成で、フォトカプラでAnodeの制御、K155ID1でBCDデコードをしている。 1枚の基板あたり2桁のニキシー管を1つのマイコンで制御するのだけど、時計として4桁、6桁、8桁…と桁を増やしたい場合は基板同士を横に接続することで拡張できる。

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基板同士はI2Cで接続しているので、どれかの基板をMaster、それ以外をSlaveにする。Masterが各桁の数値を決定してI2C経由で送り、Slaveはそれを受け取って表示するだけ。今回の時計キットは「時」の基板がMaster、「分」の基板がSlave。さらにI2C接続のRTCモジュールを使っているので、I2C BusにはRTCもぶら下がっている。

コード

基本的には2本のニキシー管のダイナミック点灯。桁を切り替える瞬間に数msのブランキングを入れてゴーストをなくしている。そのほかRTCから時刻の取得、Slaveに「分」桁の送信、LED制御、時間設定用にボタン2個の割り込み処理を行っている。

筐体

Fablab会員の方がアクリルのレーザーカットで制作してくれた。フロントパネルが木板、アクリル、ミラーなどいろいろ選べてカスタムもできてかなりいい感じ。

雑感

電子工作初心者でも組み立てられるように開発したのだけど、ハンダ付け、箱の組み立て諸々でかなりボリュームのあるキットになった。Fablab関内ではこのキットを丸一日かけて組み立てるワークショップを開いている。ほとんどハンダ付けしたことのない参加者でも今のところ全員完成しているのでキットとしては成功かな?

今回はArduino Unoをほぼそのまま移植したけど、正直なところAVR含むArduino関連の部品を秋月で揃えるよりArduino Nanoのコピー品を買ってきて載せたほうが安いしデバッグしやすいし、なにより組み立てやすい。今後の切り替えも要検討。あと、やっぱり人気があるのはIN-14のような縦型ニキシー管。某ダイバージェンスメーターのような時計も作れるといいかな。IN-14高いけど。